TIME after time War (2.war)

 

小さな町 ちいさな蔵

月入りのような夜明け

 

悲しみと怒りの刹那の刻 少年

 

 

 

~ こころに寄生したチカラの囁き ~

 

「あ・・れ・・・、ぼ・く・・・」

「寝て・・たのか・・・」

 

少年は むくりと起き上がり

一部の記憶の欠落に気づかず

何事もなく

 

外へ

 

「眩しいな・・・。」

「いま何時頃なんだろう」

 

少年は自分の人格の変化に気づかない・気づけない

 

「がっこ・・・・・行こ・・。」

 

少年のおじいさんの遺体は無かった・・・・・・。

 

 

いつもと変わらない日常

いつもと変わらない風景

 

なにかが違う・・・・・。

 

少年は違和感に気づけない・気づかないフリ

 

「よぉーコンノ、金、持ってきたかよ」

 

「お金?」

 

「んだよ、ボコられにココに来たのかよ」

 

「コイツなめやがって!お前に生きている資格なんてねーんだよ!!」

 

 

「い・・たい・・・・・」

 

 

「はぁ?当たり前だろ殴ってるんだから」

 

 

「あ・・た・・ま・・が・・・い・・たい」

 

少年の右手が無造作に何かを描く

そして」ソコに何かをオトシタ

 

その瞬間に

すべてが闇に飲み込まれた

 

教室は ざわめき 混沌の中

 

ひとつの発光体

 

「わー、かわいい、、、う・・・・さ・・・・・・ぎっぃぃぃぃい」

 

ソレは 兎のソレ

 

なにもかもの惨劇が終わった後 少年は

「やっぱり、なにかが違って見えたんだ」

「すべてが怖かったのが  すべてが小さな生き物に。」

ククク

「やっぱり俺は願ったとおり」

 

 

少年の額の傷に眼が開き 瞬きひとつ

 

ぽた。。ぽた・・・・。。。

 

 

額の眼が流したような 涙のような血

 

 

「あぁ!?」

「ああ。そういうこと・・な。」

 

 

「よし・・確認した」

「解くか・・。」

 

 

少年の右手が無造作に動く

 

闇の空間は少年の右手に収まった。

 

 

「この世の偽りの安堵に混沌を・・・・」

 

 

「いくぞ、プライム」

 

 

「キュィーイ!」

 

 

 

少年?は教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

(war②)

 

 

 

 

 

二つの不協和音が調和するとき

 

 

 

不器用な私の想いと

不慣れなこの子との生活

 

想いの旋律は どこか懐かしい心音にも似たような

心地のよい あの日の私の姿

 

悲しみと不安の奏でる不協和音が

交錯し溶け合うように

 

思い出と想いとの 淡い混色

 

音は静かに あの日へと

螺旋階段を昇るように 下るように

 

遠き日に見た あの風景の

少しずつすこしずつ 静まる辺りの調べ

 

不器用な私の想いは

あの日願った 色彩になっていく

 

そして 二つの不協和音は

時に悲しみの分け合い

時に切なさの分かち合い

つかの間の安堵の中

 

心音の共有による シンクロ」

 

 

あの日

 

君を願ってよかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八神・八竜(千生・我想)

 

 

 

 

 

TIME after time War (1.war)

 

田舎の町

朝もや漂い 草木眠る夜明け

 

ひとつの命の消え行く刻 少年

 

 

 

~ 少年のチカラの産声 ~

 

あの朝、蔵の前で じいちゃんが倒れて死んでいた。

あの時気づかなかった、気づけなかった額の印の傷。

 

ぼくは泣きながら

「じいちゃん」と幾度も叫び泣きながら鳴いていた。

 

じいちゃんの体を揺さぶったときにポケットから蔵の鍵が落ちた。」

 

蔵には決して入るなと 小さなぼくにいつも叱っていたじいちゃん。

なにかある。

 

ぼくは じいちゃんが キライで好きだった

普段あまり褒めないけど学校の成績より何より、皆がきらうじいちゃんの不思議な話を心躍らせて聞くぼくの頭をなでてくれるときの優しいじいちゃん。

 

じいちゃんが死んだのはこの蔵の中にある。そう気づくのに時間はかからなかった。

漂うカビ臭い匂い、気味の悪い湿った空気。。。。。

 

 

じいちゃんの言葉。

「蔵には決して近づくな。」

 

泣きながら一歩、また一歩。

奇怪な静けさ。

 

ぼくはなぜか一冊の古書を手に取っていた。

怖さの中で縋る気持ちで灯りのない蔵で とにかくワラをも掴む思いで手にした古書。

 

 

 

そのときに気づいていればよかった。

あのとき逃げ出していればよかった。

 

 

難しい漢字のような文字。

「なんだろうこの文字?」

「えっ・・ここ・・・光って。」

「しょ・・う・・・・か・・ん?」

「な・・な・・・・かい・・の・・・しょ・・・・・う・・かん」

 

ぼくは この文字を覚えている。

 

じいちゃんが見るなと書いていた文字だ。

 

 

 

理解しろ・・・・・!!

 

「ほ・・・本が・・・しゃべった!?」

 

 

 

「お、まえ。に、チ・・カラをやる復讐の・・チカラ・・。。。」

 

 

ぼくはその場に倒れ。。・・・・・・薄れいく意識の中で祈りにも似た願い・・・・・。

「ちからをください。がっこうのみんなをおどろかす・・・・黙らせてやる、チカラを!!」

 

 

 

 

???「・・・・・理解した」

 

 

「え・・・・・・、ぼ・・・く・・。」

 

 

 

あのとき気づけばよかった。

あのとき気づけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

(war①)

魔法と科学の狭間での芽生え

 

カラダが欲しがって求めている

アタマが願い祈っている

 

忘れたハズの痛みと 苦悩

 

私は

静かに  しずかに

眠る

 

いつかの日々に囚われそうになる

 

忘れたはずの

悲しみ 苦悩 懇願

 

私は

静かに  そう しずかに

祈る

 

この つかの間の

安らかな日々の 延長を

 

私の生徒の 差し出す「愛しき不安定」

 

ソレと共に渡される 彼女の記憶のクスリ

 

 

あの日に帰りたくない 私

あの日を変えたい   私の生徒

 

もつれ合う意識

記憶のリライト

 

治療

 

記憶の治療

悲しみを  分け合う治療

 

私の 悲しみの記憶を書き換える治療

彼女の 記憶の中の悲しみを溶かす クスリ

 

まどろみの中で

意識を共有し ココロ寄せ合い

 

遠き日に 向き合う治療の日々

 

これは 治療

 

魔法にも似たような おまじないの治療

科学にもあったような 規則的 法則的  治療

 

彼女の長いながい 暗闇の苦悩のトンネル

私の途切れた 暗闇の薄らいだトンネル

 

歩たるこの道

二人手を繋ぎながら まどろむ意識の中

 

 

私は 記憶探しに

彼女は 記憶片手に

 

歩たるこの道

永遠を共に

 

その言葉を 繋いだ手の中で温めて

 

 

私の不可解な 魔法の治療

彼女の規則的・法則的 科学の治療

 

互いの治療の芽生え

魔法と科学の意識的結合の記憶の譲歩

 

これが真実と願う

毎日の毎時間の夜明けに

 

キミは 何を願う  何を想う

私は キミのすべてを想う

 

 

これは治療 その刻は

静かに  しずかに 流れゆく・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八神・八竜(ヤガミ・オロチ)