~千年王と、眠り姫と、記憶と、~

2014/07/23(水)

 

 

朝もやの中、風に吹かれて千年王は立っていた。

七つの海と、八つの大陸を旅して、

ようやく、眠り姫の眠っている、

 

いや、

待ってくれている森を探して 千年を旅していた

そして、

ようやく出逢い 歓喜に溺れたが 眠り姫はどうして眠っている?

千年王は 悩み 眠り姫の 素敵な寝顔に

どうしたら 眠りから覚めてくれるか考えた

 

千年王は

地上に 堕ちる前の記憶を元に考えた

そう なぜ??

私は 地上に堕ちたのだろう?

眠り姫の記憶と 混じって 鮮やかなる彩の風景を

そうだ!!

私と眠り姫は、いつも、いつの時代も出逢っていた

私は、眠り姫を起こそうとしたが、冷たい肌と冷たい吐息

起きる気配は無かった

 

 

私は 眠り姫を起こそうとしていたが、

思い出した

記憶の断片に 地上に堕ちる前に

眠りにつかせたのは まぎれも無い 私なのだ

 

あまりの美しさに 誰にも奪われないように

私は この深い森に眠らせ隠したのだ

 

そして

雲の上から眺めていた

そして

神々の怒りをかい 落ちて 堕とされたのだった

私は 記憶の断片のパズルの様なピースを かき集めた

眠り姫は 白い吐息をしながら 眠っている

私は 逢えなくて眺めているしかなかった

そして

落ちて

いや、

堕とされ記憶の断片で探していた

この深い森の霧は 眠り姫の白い吐息の 霧にも思えた

私は いつの時代も 堕ちてから過ごしていた日々を

生まれるたび 出逢い 別れを繰り返し

千年を旅してきた

 

私は すでに羽を無くし それでも旅をしてきた

姫を探し

でも いつの時代もアナタ様の側に居た

きっと 姫は私との旅に 時代の旅に 疲れて休んでいるのだろう

悠久の刻の旅

私は 自分が何か、何だったか、

そんな事はいい

堕ちたことに変わりは無い

そして、眠らせ この深い森に ・・・

私たちは いつの時代も 一緒だったのに

一緒だったのは

薄らいだ朝もやの陽の光が創った幻影

 

ようやく 少しずつ思い出してきた 想いに

少し思慮した

王は 千年を旅し、

いつしか 千年王と呼ばれる事に 酔っていた

私が必要としていたのは いま目の前にいる まぎれもない姫

幻影ではなく 実夢の姫である

王は 後悔と懺悔の念で

ナミダした

自分が なぜ旅をし なぜ気付かなかったのだろうと ・・・

王は ナミダが止まらなかった

どうして どうして ・・・・

後悔が止まない

眠り姫の頬に手を添え

「私を・・・私の過ちを許しておくれ・・・」

そう言い、涙ながらに眠り姫にそっと 口授した

その瞬間 深い森の霧は晴れ 鮮やかなる陽の光が差した

小鳥やリスたち動物も まるで 祝福するかのように

眠り姫は 白い吐息を止め 美しい顔に赤みがさし

眠りから覚めた

 

王は ナミダし 観喜のコトバにならない言葉で

なにかに

ありがとう

そう 心の底から 信念した

そして

地上に堕ちる前の

千年の恋も 千年の愛に変わると想い

「姫よ、旅に出よう」

「私の犯した罪の数だけアナタ様に微笑を」

「七つの海も、五つの大陸も、どこへでも」

姫は一言。

「アナタのことは、幻夢でも見てた、アナタの罪は私の罪でもあるのよ ・・・」

「アナタの記憶を消したのは、私なの、だから眠りについたの ・・・」

 

!?

 

「アナタの行きたい所、私も行きたい」

「でも もう森は この瞳に揺らめくから お願い ・・・」

 

王は言った。

「この時代は何も無い」

「刻を飛ぶよ、しっかり掴まっていて、もう決して離さない」

 

そして

 

現在。。。

千年王は 眠り姫と 愛を誓い

めぐり合えたことに 感謝を。。。。。

恋は罪に、愛は記憶へと

 

南の島で

姫は ・・・彼女は 白い吐息から ドレスワンピに白のマダムハットを被り

私を、こう呼ぶ。

「せんせぇー、せんせぇー、キャッ、先生も来なよぉー、風が気持ちいいよ♪」

パタンッ

私は、物語の本を閉じ、いつの時代も、なんの物語にも、

私たちは出てきていたのです。

「クスッ、今行くよ♪」

千年王と、眠り姫は、

お互い幻夢として、色んな物語に出ていて、

お互い愛し合っていたことに 感謝し、

彼女の待つ 浜辺へ ・・・。

 

おしまい

 

 

追記

簡単に説明すると、千年王は雲の上から眠り姫に恋をして、

誰にも奪われぬように

深いふかい森に 閉じ込めるように眠らせた

神々の怒りに触れて 堕とされ

 

先程の、千年王の記憶を消したのは 眠り姫であるというのは、

眠り姫も 神々に千年王に罪を償わせるかと問われ、

それで、記憶の断片だけを残し、旅をさせた。

 

そして、最後は、

先生と大切な人という関係になった。

 

最後に、

我が名は、千年王

姫は、眠り姫

ちゃんと、この時代に居ますよ

アナタの居るこの時代にネ

 

夜行性のカタツムリの治療師

八神・八竜