~やっと来てくれた、やっと・・やっとこれで・・・・~

 

 

青年は、

都会の片田舎で学校に通いながら近所の子供の世話をしていた。

青年の名は八神。

 

 

青年は、いつも一人ぼっちの少女に構っていた。

 

 

もちろん、みんなの輪の中に入れるようにと促していた。

青年は、近所の子供たちのヒーロー的存在と言ったら、

大げさだが そんな感じだった。

 

住んでいるアパートの2階から顔を出せば、

 

 

 

八神さーん、降りてきて遊ぼー!!

 

 

と、呼ばれては学校の無い日は遊んでいた。のか、

遊ばれていたのか?

その当時は、

近所のみんなは幼い小学生とか中学生や、はたまた園児もいた。

 

そんな中、青年は、いつも一人を好む女の子を一番構っていた。

なぜか、輪の中に入っても抜けて来る。

 

 

 

「XXXちゃん、みんなと遊ぶのがイヤなの?」

「イヤじゃないけど、なんか八神さんと一緒に居たい。」

 

 

正直、姪っ子と同じ年の女の子だったから、悪い気もしないし、でも、みんなの輪の中に入って欲しかった。

 

 

青年は、みんなと遊んでいる時も、その子が心配で目をいつもやっていた。

 

青年の前にその女の子が来ると、合図を出すのだ。

 

なんの合図なのかというと、

抱っこか、肩車の合図だ。

 

 

正直、小学生なのでコトバでいうのは、恥ずかしいのか、合図だった。

 

 

それを見ていた他の子たちが、

「オレもー、オレもー、私も私も」と言った具合だった。

 

 

そして、また女の子は一人になる。

 

 

みんなその子がキライではないが、

ドッチボールしてても、急に草花を摘んだりするので、

自然と一人になっていた。

 

 

青年は思った。

(ダメだ、ダメだ、一人はダメだ。絶対に。)

 

青年は、過去の自分のイジメによる一人ぼっちだった記憶があるので決して、諦めなかった。

 

 

女の子は言った。

「あのなー、八神さんはなー、XXXのなー、この時間はなー、お父さんなー?」

 

青年は、泣きそうになりながら、

「わかったよ、わかった。このみんなと居るときは、XXXちゃんのお父さんな、よし、わかったよ。」

 

 

 

青年は、約束は守る人間だった。

昔の自分に重ね合わせていたのかも知れない。

青年は、学校に通いながら、近所の子供たちと遊び、学校を卒業した。

青年は、就職した。

 

その時には、近所の子供たちも人数は減っていたせいか、女の子も輪に入っていたように見えて、ホッとした感じだった。

最後にコトバを交わしたのは、

 

「八神さんなー、わたしなー、小さい時から物語書いててなー、八神さんが、おじいさんになる頃にXXXはTVに出てるかもよー!」

 

 

青年は、言った。

「じゃあ、仕事頑張りながら、TVをいつもチェックしておくよ♪」

 

 

最後に覚えている言葉はこのコトバだった。

 

 

 

 

。。。。。。。。。。。。。そして、数年。

 

近所の子供たちも習い事や年齢も重ねて、集まることは無くなった。

 

青年は、あのいつも一人ぼっちを好む女の子が気がかりだった。

 

 

でも、、、、、、、、、、、、、、、、時は残酷なものだ。

 

 

 

 

青年が久しぶりに道端で会った。

しかし、女の子はコトバを交わすどころか、目も合わさずに。

まるで、知らない人の様に青年の前を通り過ぎた。

 

 

女の子は、中学生になっていた。

 

 

青年は、納得した。

何を。なぜ。。。。。

兎に角自分に、そんなもんさ、と納得させた。

 

 

 

そして、さらに時は過ぎ。。。。。。。。。。。

 

 

青年はもう青年と呼べれる年齢ではなくなった。

青年の4人姉兄弟の叔父さんになっていた。

 

時は、残酷なものだ。。。。。。。。。。。。。

 

 

当時の青年は、30代になっており、

もうあの頃の体力も何も無くなっていた。いわゆる絶望の崖に立っていた。

 

 

思い出すのは、過去の事ばかりだった。

 

 

 

家族にもみくちゃにされた事。イジメに会った事。色々な黒いものが塊になり。。。。。。。。死を決意した。

 

 

 

 

その晩、睡眠薬で死のうか、

包丁で湯船の中で、暖かいお湯の中手を切って死のうか、

色々思っていた。

 

 

 

 

 

その時、泣きながら、もうダメだ、もう手遅れなんだ、と、頭を巡っていたコトバが一瞬消えた。

「八神さんはなー、XXXのなー、この時間はなー、お父さんなー?」

そのコトバが死を緩めた。

 

 

あの子、やっぱり天使だったんじゃ・・・・。

 

 

当時、姪っ子と同い年くらいのあの子は、天使なんじゃないかと、

当時の子供たちの一番年上の男の子に言ったら、

「八神さん、仕事と勉強のしすぎで頭が疲れてるんだよwwwwww」

 

って、余計な事も一緒に思い出されたが、

 

 

 

その夜は、死を決意したので、興奮していたが、まどろみの中眠りに着いた。

夢を見た。

 

 

 

「・・・さ・・ん・・・・や・・が・・・・・みさん、・・・・・やがみ・・さ・・・ん」

 

八神は、夢の中か現実か分からない中、当時のXXXちゃんを見た。

 

 

 

八神「XXXちゃん、やっぱりキミは天使だったんだね」

泣きながら言った。

 

 

少し、その子は黙って、

「八神さんが、あまりに自分を犠牲にしてきたから、迎えにきたんだよ♪」

 

 

続いて、

「私、勉強したの色んな難しい本も少し読んだ、パパの本。八神さんはお父さん。パパはパパ。」

「救世主は、迫害者になり、最終的には犠牲者になるんだって。」

「心理学?の本では有名なコトバだよ? あ、八神さんは琴乃葉と読んでいるネ♪」

 

 

私がナゼ、現れたと思う?

「八神さんの今の抜け殻の状態に、当時の八神さんの記憶のチカラを注ぎに来たんだよ?」

「さっきは、迎えに来た、って言ったけど。ちょっと脅かしたかったのと、少しでも気分が楽になれればなー。ってネ☆」

 

 

 

八神は言った。

「私を、天国に連れて行ってくれるんじゃないの?」

「私の命を優しく奪ってくれる為じゃないの?XXXちゃん?」

 

 

 

その子は言った。

「あの時に言ったでしょ?私はTVに出るの。将来。

だから、今は中学生をしながら色々してるの。」

「八神さんが、あんまりにも死にそうな顔して歩いているのを何度も見て・・・・・。」

 

 

ポタポタッ

 

 

八神「泣いてるの?」

 

XXX「泣いてるのは八神さんです!」

 

 

八神「はは、本当だ。こ・・コトバに・・・ならないくらい・・・泣いてます。」

 

 

XXX「八神さん、思い出してナゼ、私が一人で居たのを皆の輪の中に入れようとチカラを使っていたの?」

 

「私を助けるというか、過去の自分と照らし合わせて、してくれた善の事だよ」

 

「今、誰も集まらないアパートの前にたまに出て思い出して、あの頃をチカラを取り戻して」

 

「私は、死神ではないの!天使かも?。。。だけど!!八神さんが死を覚悟した時に私に届いたの!」

「お願い死なないで!!八神さんが、ヒーローだった頃を思い出して!死なないで!」

「・・・ね・・・がい、・・・・・死な・・・・・ない・・・で・・・・・・・おね・・・・・・が・・・・・・・。」

 

 

 

ハッ

 

 

目を醒ました。

八神は考えた。

たとえ、いま道で無視されても、やっぱりあの子は天使だったんだ。

たまに、みんなが集まっていたアパートの前に立ってみるか。

八神は、住んでいるアパートの前に立ち昔を思い出してみた。子供たちの記憶が甦る。

 

 

小学校3年だった男の子が高校生とか幼稚園児が、もうそろそろ中学生、みんな年を重ねたね。

 

 

 

 

。。。。。。取り残されたのは、私かも知れない。

 

 

 

死なないよ。

まだ、少しチカラがある内にもがくのではなく、あがいてみせるよ。

 

 

夢でもアリガトウXXXちゃん。

 

 

私は、また私から僕に戻っていてしまったよ。

 

 

私に切り替えます。

 

私の記憶の中の天使、XXXちゃん。

ありがとう、もう少し頑張るよ。

 

 

 

夢でも幻でも良い、キミはやっぱり天使だったよ。

 

八神は、これから最後のチカラを振り絞って、少しでも生きようと思った。

 

 

これは、

「私の物語だ、人生という名の、私の物語だ。」

ナミダが出やがる。

 

「やれるだけやる。その後は、今度は、命を奪いに来て欲しい。」

 

 

ありがとう。

 

私の住んでいるアパートの前に集まっていた子供たちと私に幸あれ。

 

 

 

 

 

bye-bye

 

 

 

 

夜行性のカタツムリの治療師

八神・八竜(千生・我想)

 

 

 

14 thoughts on “~やっと来てくれた、やっと・・やっとこれで・・・・~

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